子どもの学習環境をデザインする上で、大切な2つの視点。今、この一瞬を「自分の目で見て聞いて感じる」ことが難しい社会だからこそ、自分を中心に据えて学ぶ必要があります。

 

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私たちは、いつから「今、ここを生きること、感じること」

に鈍感になったのでしょうか。

 

この一瞬に起きていることを感じずに、まず「記録」し「記憶」させておく

ための一つの道具に預けようとする光景をよく目にします。

そして、番号と共にいつでも取り出せようにしておく。

このような日常のどこにでもある風景は、

人の「思考」にも大きく影響を及ぼしています。

 

私は、最近のニュースの記事や人が発言する言葉を耳にして、

どこか他者を冷ややかな目で見て、

自分と世界を切り離して生きている人がいるように感じています。

 

例えば、他者の噂話をする人や、相手を平気で傷つけるような言葉。

また、この世界で起こっていることを、窓の外の景色を見るように、

眺めてしまうときはないでしょうか。

 

私たちは、世界のどこで何が起こっていようと、必ず影響し合っています。

だからこそ、まず、その中に自分が生きていることを認識し、

当事者であり、中心に居なくては、決して自分を生きることはできないはずです。

 

 

現代において、今この一瞬を真剣に生きて学ぶならば、

「自分を中心に据える」ことを意識して生活しなければなりません。

 

 

もちろん、人は、客観的な視点をもつことはとても大切です。

「自分を自分が上から俯瞰して見る視点」は、メタ認知と呼ばれ、

今、自分はどのようにあるのかを自分で見る力です。

教育において、出来事を「振り返る」行為は、

体験したことをより一層、深いものにして経験知として

享受することになります。

 

 しかし、それと同じくらい物事に没頭し、

自分の視覚、嗅覚、触覚、味覚を使って、日常を生きることは重要です。

「今を集中して生きる」ということです。

客観視すことは、自分がそのような時間を生きていない限り、

意味を成しません。

 

夢中になって、物事を進めていく経験は幼い頃ならば、

誰もが経験するはずで、子どもはその状態に入るスピードがとても早いです。

 

また、子どもを観察していると、もう一つ大事なことに気がつきます。

それは、この「何かに夢中になって取り組める状態」は、

精神的にも身体的にも「安心感」と「安全」を子ども自身が感じて、

はじめて発揮できるということです。

 

 

あっという間に過ぎるあの時間。

もっと、やっていたくなるあの感覚。

 まず、目の前の「今、ある状況に没頭してみること」

目の前に広がる景色を感じる時間。

目の前の湯気が立つお料理を視覚や嗅覚で楽しむ時間。

目の前の人やものとの出会いに全神経をかけて関わる時間。

 

この「今、この一瞬」をもっと尊い価値として認識することです。

 

私たちは、一つの道具に「記憶」することを任せなくても、

その時の空気や感覚で感じたものが記憶に残ります。

 

それは、生きた記憶となるので、次の経験により彩りを加え、

豊かな体験になることがあるのです。

 

物事に夢中になって没頭できること。

そして、自分を振り返ること。

そのための「安心」できる空間を作ることができるのは、

教育施設でもなく、教師でもなく、

あなた自身です。