「産後うつ」早期発見に向け、日産婦対策指針示す。今、生きる環境に目を向け根本的な問題を見出すことは、周囲の情報に振り回されずに自分の生命エネルギーをよい方向へ還元させること。

 「産後うつ」この言葉をよく耳にします。

私の周囲では当てはまる人が居なかったので、気にしていませんでしたが、

日本産婦人科学会と日本産婦人科医会は、具体的な対策を進めているとの

ことですので、「出産」について改めて考えます。

 

www.fnn-news.com: 「産後うつ」早期発見...

2016.2.222

産後うつ:問診で早期発見へ 日産婦など対策指針 - 毎日新聞

2016.2.22

 日本産科婦人科学会(日産婦)と日本産婦人科医会は、来年改定する産婦人科診療ガイドラインに、「産後うつ」に関する具体的な対策を初めて盛り込む方針を固めた。産後うつになる危険性が高い女性を妊娠・出産後の早期に見つけ出すことなどが柱となる見通し。産後うつは出産した女性の10人に1人がなるとされ、子どもへの虐待や育児放棄、女性本人の自殺などにつながる恐れがある。医療現場の産後うつへの理解を広げ、効果的な対策の普及を目指す。

 現行の診療ガイドラインは、産後うつについて「精神障害が起こりやすいので注意する」などと記載するにとどまる。そこで昨年4月、日産婦と同医会、日本周産期メンタルヘルス学会が合同会議を設立、産後うつに関する国内外の統計や、妊産婦の精神ケア先進国とされる英国の取り組みなどを分析し、報告書をまとめた。

 報告書は、妊娠の初診時と出産直後の産婦人科医らによるチェックが重要と指摘。産婦人科を初めて受診した妊婦への問診では、過去にうつ病統合失調症になった経験や、パートナーからの暴力、自傷行為の有無などを質問することが、産後うつになりやすい女性を見つけ出すのに有効と位置付けた。出産後は、2週目と1カ月目のメンタルチェックの実施を勧める。具体的には、国際的に普及している英国の「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」など、二つの質問票の活用を提案した。

 そして、妊娠時、出産後のいずれであっても産後うつの危険性が高いと判断された場合は、精神科医を紹介し、専門家の受診を促すことを推奨している。

 日産婦などは、この報告書の提言を基に、来年改定する診療ガイドラインの検討を始めた。報告書を取りまとめた日産婦常務理事の竹田省(さとる)・順天堂大教授(産婦人科学)は「産後うつになりそうな妊産婦を早い段階で見つけ、専門的な支援につなげることで、自殺や虐待など深刻な例を減らせるだろう。産婦人科医と精神科医の双方が連携を強めることが必要だ」と話す。

エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)の内容

「過去7日間にあなたが感じたことに最も近い答えは?」

(肯定〜否定の4段階の答えの中から一つ選び、その合計点数に応じて対象者の状態を判断する)

(1)笑うことができたし、物事の面白い面も分かった

(2)物事を楽しみにして待った

(3)物事がうまくいかない時、自分を不必要に責めた

(4)はっきりした理由もないのに不安になったり、心配したりした

(5)はっきりした理由もないのに恐怖に襲われた

(6)することがたくさんあって大変だった

(7)不幸せな気分なので、眠りにくかった

(8)悲しくなったり、惨めになったりした

(9)不幸せな気分だったので、泣いていた

(10)自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた

 

産後うつとは下記を言うようです。

 子どもを出産した後、ホルモンのバランスの急激な変化や育児への不安、社会的孤立など多様な要因から発症するうつ病の一種。出産後半年ごろまでに発症するとされる。厚生労働省研究班によると、国内の出産後の女性の発症率は▽2001年=13.4%▽05年=12.8%▽09年=10.3%と1割程度で推移。一般の人がうつ病になる率(3〜7%)より高い。

 

 目的は、「産後うつになりそうな妊産婦を早い段階で見つけ、専門的な支援につなげることで、自殺や虐待など深刻な例を減らせるだろう。産婦人科医と精神科医の双方が連携を強めることが必要だ」とあり、案が提案されています。

 

私は、上記の「エジンバラ産後うつ病質問票」を見て、

なんとも、はっきりと答えを出すことが難しい質問項目だと思いました。

 特に、経験したことのない出産を体験した者ならば、誰だって、

気分の浮き沈みや体調の変化はあります。それは、とても自然なことであり、

わざわざアンケート形式で回答する必要はあるのでしょうか。

 

それに加え 、受けた女性に悪影響を及ぼす可能性もあります。

曖昧な質問項目により、自分自身を「産後うつ」だとラベリングすることで、

安心したり、不安に思ったりして、結局自虐的な行為につながる可能性も含みます。

 

もし、そのような状態の人がいて、産後うつの症状がこの質問回答から

カテゴライズされたとしても、医療やカウンセリングの力で

よりよくなるとは思えません。

もっと、根本的な問題があるはずです。

 

先日、申し上げました子どもをADHDなどとラベリングすることと同様のことです。

 きっと、そのようにラベリングすることによりメリットがある人がいることは、

容易に想像できます。

 「発達障害児の早期発見」人が人をラベリングすることはできるのか。私たちは他者との「違い」から自己を成長させるのです。 - familylearning-fullの日記

 

 

この「産後うつ」は、医者や精神科医が、なんとか良好な方向へもっていってくれるのでしょうか。薬を服用すれば、治るのでしょうか。

そんなことは、決してありません。

 

 

かつての日本に生きる女性は多産であり、自分の生命力を発揮していました。

何人産んでも、産後うつどころか、ますま女性としての強さとしなやかさを

兼ね備えていったのです。

次々に他の大人が面倒を見たり、兄弟で世話をしたりして、

女性は「産む」ということに集中できました。

多くの人が関わることで、安心して出産し自分を生きることができたのです。

それは、生物としての理に適っています。

子育ては、皆でするものであり、我が子も他者が産んだ子も皆、同じように

「社会を担う人」として育てられていたのです。

 

 

では、現代になって突然、「産後うつ」になる女性が急増したのでしょうか。

突然変異でも起きたのでしょうか。

やはり、そのようなことはなく、「環境」における問題が大きいと思います。

 

 

まず、出産形態ですが、ほとんどは、家庭で行われていましたが、

だんだんと施設出産が進み、昭和四十年代には、病院でのお産が当たり前になります。

それは「安全で安心できる出産」と掲げられ、世の女性たちは、

家庭から助産院、病院へと「産む場所」を変更しました。

これは、女性が本来自分の生命力を発揮して産んでいた経験を排除する

大きな変革でもあったのです。

 また、この時代は「母乳よりもミルクの方がよく育つ」と言われ、

母乳育児を経験する人も少ないようです。

子どもを産む=他者の力を借りる

 手術台の上でうつ伏せになった状態で、無数のライトの下で産む。

この姿勢は、医師が赤ちゃんを取り上げるときに好都合なため、

設定されたと聞いたことがあります。

 

私は、このような体験から「出産」という方法そのものが、

本来の身体の力を発揮する方向とは違う方法で産まざるを得ない状況も

一つの要因ではないかと考えています。

 

また、今の日本では、子どもを産み育てるために「機能」している場所が少ないです。

制度だけに関わらず、食、情報、身に付けるもの、電磁波などの社会環境からも、

私たちの身体は影響を受けています。

 

産後うつ傾向:夫にも2割 子育てと仕事の両立が重圧か - 毎日新聞

2016.1.6

では、共に家庭をつくる「イクメン」と呼ばれるパパたちが活躍すればいいのか?

と言われると少し違います。

最近のお父さんは、非常に育児熱心です。

子どもを自転車にのせて走って送り迎えや授業参観にも

顔を出すお父さんが大勢います。

 

そもそも、育児は夫婦で協力して行うものだということが前提ですが、

育児とは、皆で分担し、近所、地域と共にやっていかなければ、

健全な子どもは育ちません。

というのも、いろいろな人が様々な立場で子どもに関わることは、

子どもの人格を育む上でとても重要なことです。

勿論、母子関係の関わりの大切さは、いつも申し上げています。

 

 

母になるならば、「我が子」という狭義の子ども観ではなく、

「社会の子」または「地球の子」という広義の子ども観で捉えることで、

自分がしていることへの尊さと充実感をよりはっきりと

認識できるのではないでしょうか。

 

世の母でいる人は、本当に自分の身を削って、子どものために生を全うされています。

 私たちも、この先の未来を創る子どもを「我が子」のように、

同じモチベーションで育てることで、自分自身を豊かに成長させることができます。

 

その機会は、いつでも存在しているのです。

 

また、私たちは、産後うつや育児に悪影響を及ぼしている出来事を見極めて、

自然な愛の方向性をしっかりと子どもたちに向くことのできるように

意識することは、私たちのエネルギーを無駄に消費せずに、共に育つ共同体の

よりよい豊かさに還元させることができます。

 

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多様な人が互いに育ち合える関係性を循環できている学びの共同体。

それが、「ファミリー」です。

 

 

私たちは、このような問診票があろうがなかろうが、自分自身の生命力を信じて、

振り回されずに、子どもたちに向き合うことが、正しい道であるように思います。

 

子どもは、皆で観察し、皆で伸ばし、皆で育てていくものであるという

認識の下、明日からの「子育て」をしてみてください。

 

そうすると、きっと視野が広がります。

わくわくすることが増えるでしょうし、自分の可能性にも気が付かれるでしょう。

 

ちょっとしたことに右往左往する必要はありません。

なぜなら、未来を創造するという、人類の進化に

今、一番貢献しているのですから。