「貧困世帯 子どもの孤食」家庭の食卓で育まれるものとは。「作る」と「いただく」という行為は、教育においても大切な価値をもちます。

今、私たちは「子どもに何を食べさせるか。」

「食べさせないか。」ということで、頭がいっぱいになっていませんか。

 勿論、そこは避けて通ることのできない道です。

 

大人に「あれは良い。」「これはだめ。」「これだけね。」

と言われるよりも、「大好きな人と共に、食事がしたい。」

そのようなことを、誰にも言えずに、心に秘めている子もいます。

 

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今日は、少し視野を拡げて、家庭の食卓で「どのように命をいただくか」

ということについて考えたいと思います。

 

貧困世帯、目立つ孤食 沖縄県内73校アンケート | 沖縄タイムス+プラス

2016.2.9

 貧困世帯ほど1人で食事する子どもの割合が高い-。素案に盛り込まれた「学校アンケート」で、そんな傾向が表れた。

 アンケートは沖縄県が昨年10~11月に県内延べ73校の小学1年、5年、中学2年の児童・生徒や保護者を対象に実施。「朝食や夕食を主に誰と一緒に食べるか」という質問に対する回答で、小学5年生、中学2年生のいずれも、貧困世帯ほど親と食卓を囲む比率が低い実態が浮かび上がった。

 中学2年生は親と一緒の朝食は平日で35%、休日42%にとどまり、小学5年生は休日・平日とも47%で非貧困世帯より15ポイント以上低かった。また、朝食を食べない子どもも貧困世帯の方が多い傾向で、朝・夕食ともに「ひとりで食べる」と答えた割合は、小学5年生より中学2年生の方が高かった。

 

記事では、孤食の割合が高いのは「貧困世帯」と括られていますが、

収入面で裕福であると言われている家庭もそうでない家庭も、

同じように「孤食」は多く存在しています。

 

その割合は、データであるよりもずっと多いのではないでしょうか。

そこに人がいても、テレビを見ながら・・・

携帯をみながら・・・仕事のことを考えながら・・・

それは「共に食事をする」という行為にはなっていません。

 

人と同じ食卓を囲み、同じ時間を「共有」することは、

そこに人の意識があり、会話が生まれ、関わりを育んでいる状態です。

 

私は、身体が美味しいと感じるものを、信頼できる人たちと共に

「命をいただく行為」は「命を育む時間」であると考えます。

 

 

私たちは、仕事と育児といくつものことを同時にマネジメントし、

並行しながら進めても、上手くいくようなことはなく、

日々試行錯誤と修正の連続です。

 

どうすれば「効率よくできるか。」「時間を短縮できるか。」は

子どもを育てるということの永遠の課題なのかもしれません。

 

けれど、効率化を図れないことも在ります。

余計に遠回りになり、時間をかけて後に修復・再生しなければならない

子どもの育ちの過程を大きく左右します。

 

それが「一緒にいただく」という空間と時間です。

これはとても大切なことです。

 

ですから、おむすび1つ握る時間。

それを、我が子と一緒に「おいしいね」といただく時間を

私たちは、何よりも尊い時間である認識したいです。

 

 

 

もう一つは、「子どもが自分の食を自分で作ることができるようになること」

はとても重要なことだと考えています。

 

キッチンは「学びの宝庫」です。

料理を作るという行為は、「人の体を作る」「人の関係を作る」「自分の心を育む」

ことに繋がります。

料理をすることで、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚の全ての感覚を活性化させ、

一緒に頂く人への「思いやり」の気持ちを育てます。

 

また、「作る」という行為は

「順序」

「同時並行」

「タイミング」

「組み合わせ」

「調整すること」

「他者と思う気持ち」を含め、

思考も心も同時に育んでいけるのです。

 

そして、子どもは

「自分の手を動かすことで新たなものが生まれ、作ることができる」

という「作り手」の感覚と視点をこれらの経験から体得するのです。

 

 

野菜から育てることも大切です。

一日体験学習ではよく用いられますが、本来の教育的価値を求めるならば、

逆効果になっていることに私たちは気が付かなくてはなりません。

全てのプロセスを経験させるならば、良いと思います。

一部分だけでは、何も得られません。

(しかし、子どもは自分で育てた野菜は、

不思議とよく食べるという事実もあります)

 

 

次に、「作る」ことで得られる学びをみていきましょう。

「組み合わせ」とは、素材のつかい方を知るということです。

何と何を組み合わせるかを「判断」し、「選びとる力」も同時に育みます。

現代の何もかも既製品であふれている社会に生きる子どもにとって必要な力です。

 

自己の感覚や感性を研ぎ澄まし、野菜を目と手触りで鮮度を確かめ、

切る音に耳を傾け、味付けは、レシピ通りに作るのではなく

自分の味覚を育てながら、調整していきます。

そのような素材の特徴を知り、「調整していく力」は、生きていく上で大切です。

 

 

 家庭や教育施設で、皆で同じものをいただくことは、

その家庭や地域の「文化」を作ります。

例えば、同じ時間を共有していても、別の食べ物を食べていたら、

人は他人の芝生が青く見える生き物なので、別の感情が芽生える可能性もあります。

 

豊かで、よい文化を育みたければ、

まず、手作りの「食卓」を作ることです。

 

そして、「自分で作る」ということが大切です。

手で作るという行為は、どれだけ文明が発展しても、手から得られる情報をもとに、

作るのですから、それは尊い行為です。

 

私たちの小さな時間の積み重ねは、後にその人の人格にまで大きく影響します。

 

もう一度、申し上げますが、その時間は、我が子の人生に

大きく影響してくることを心にとめて生きることです。

 

過ぎ去った時間を修復することは、何倍もの時間がかかります。

「今」しかできないことがあります。

 

複雑なことでもなく、お金がかかるようなことばかりでもなく、

とても、シンプルなことにヒントが転がっています。

 

 

 

味覚教育は「味わう」ということの他に人の「思考力」「判断力」「表現力」を支えている。 - familylearning-fullの日記2015.12.4