教科書 「採択」 文部科学相「法律に基づいて選定を任せていたのに・・・」 デジタル教科書、ICT教育の導入に合わせて、今後の「教育現場」に大きな変革がもたらされます。

教科書問題 「採択」への影響を調査 文科省 NHKニュース

2016.1.22

教科書会社が教員らに検定途中の教科書を閲覧させたり現金などを渡したりしていたことが相次いで発覚している問題で、こうした不適切な行為をした会社が12社に上ることが分かり、文部科学省は各自治体が使用する教科書を決める「採択」に影響がなかったかさらに調べることにしています。

文科相「危機感持って」 教科書謝礼問題で教育長に :日本経済新聞

2016.1.24

 

 

 教科書会社が教員らに検定中の教科書を見せて金品を渡していた問題を巡り、馳浩文部科学相は23日、全国の市町村教育長の会合で講演し「教科書行政は税金を使い、公的な役割を果たしている。危機感を持って取り組んでほしい」と再発防止を強く求めた。

 

 

 会合は茨城県つくば市で開かれ、市町村の教育長約60人が参加。馳文科相教育委員会には教科書の採択権があることに触れ「今回疑われているのは癒着。法律に基づいて選定を任せていたのに(教員らが)謝礼を受け取っていた。感覚がまひしているのではないか」と指摘した。

 

 

 文科省は再発防止に向け、情報提供を受け付ける窓口の設置などを検討している。

 

 

 

そもそも、教科書とは、近代化の教育に向けて、

全国で統一した指導内容を位置づけるために作られたものです。

 

日本における教科書の検定制度が固まったのは明治時代で、学年別、

発達に応じた近代教育を教科書を用いて、全国の小学校に普及させるうえで、

大きな役割を担いました。地方出版の教科書が急速に減り、教科書の出版が、

東京の大出版社に集中し、その後も、教科書を無償配布するようにとの

市民運動が起こり、現在、子どもたちの手元に届くようになりました。

 

 

子どもと教師との間にこの「教科書」があることによって、

それを使用する、しないに関わらず、2016年現在の教育現場では、

かなりの割合で使用されているでしょう。

 

教科書会社によって、その特徴は様々ですが、

この教科書に記されているものが全て「正しいものである」と認識させることが、

教育現場で行われていることですから、いくら、「アクティブラーニング」「話し合い活動」

を入れても、こちらに集約されてしまうのです。

 

それよりも、この教科書を土台にして、多角的かつ批評的な学びの場を作りだすことも必要です。

子どもは、少なからず、そのようにして、「なぜ?」と世界に疑問をもちますし、

それは、「教科書」という道具と通して、見つかる可能性もあります。

 

 

日本には、四季がありますから桜が咲く季節も違うのです。

あるいは、地域の特産物も違うのです。

 

しかし、同じ時期に、同じ内容を、全国各地の学校で、

この「教科書」を用いて行われています。

子どもたちの身の回りの生活とはかけ離れた学習は体得に至りません。

 

これは、どこの教科書会社か・・という話題ではなく、

「教科書」自体の問題でもあるのです。

 

 

この教科書から派生すると、「教科書」が存在しているので、

現在の学校の指導方法、指導形態が変わらないということも一つの理由かもしれません。

 

このような、馳文科省大臣の話から

文科相教育委員会には教科書の採択権があることに触れ「今回疑われているのは癒着。法律に基づいて選定を任せていたのに(教員らが)謝礼を受け取っていた。感覚がまひしているのではないか」と指摘した。

 

 とありますが、癒着などの問題は、

決してあったはならないことは当然であり、

「法律に基づいて選定を任せていたのに」との発言も

道徳教科化とICT導入の動きと連動して、懸念しています。

 

ICT CONNECT 21/文科省補正予算3.5億円で地域未来塾のICT備品整備 | ICT教育ニュース   2016.1.22

デジタル教科書で13社提携 端末での操作法統一 :日本経済新聞 2013.9.5

 光村図書出版など教科書12社と、日立ソリューションズは5日、デジタル教科書事業で提携した。デジタル教科書は文部科学省の検定を受けた教科書をベースに制作される教材で、生徒は主にタブレット(多機能携帯端末)を使う。各社はページの拡大など基本的な操作方法を統一し、15年以降に新しいデジタル教材を配信する。生徒らの使い勝手を高め学校での普及に弾みをつける。

 教科書各社と日立ソリューションズはデジタル教科書のデータを保管したり配信したりするクラウドシステムも共同で開発する。開発費用は日立ソリューションズが負担し、閲覧ソフトの利用料金を教科書会社が支払う。米アップルの「iPadアイパッド)」、米マイクロソフトの「ウィンドウズ7」「同8」で利用できる。他の教科書会社にも参加を呼びかけ、新システムを通じ配信サービスを充実させたい考えだ。

 

 

そして、デジタル教科書、ICTの導入が全国各地の学校に採用され、

導入されてます。

 

今後、「教科書」という「出版物」ではなく、

各教室に配置された実物投影機・電子黒板・テレビ

などで、教科書の内容を児童に提供することになるかもしれません。

 

総務省/隠岐での遠隔授業の取組など「地域情報化大賞2015」表彰 | ICT教育ニュース

2016.1.22

総務省は22日、隠岐國学習センターのクラウドを活用した遠隔授業など、地方創生に資する「地域情報化大賞2015」の表彰事例を発表した。

 

 

映像で発信・受信することが可能になり、

遠隔授業が実施されるとなると、

逆に、教室で起こっていることすべてが、

カメラで監視できるようになるかもしれません。

 

それは、現在教育で大きなニュースになっている学校での「いじめ」

などの言動も全て、人間ではなく、カメラが把握できるようになります。

そのようなメリットを掲げて、導入されるかもしれません。

 

そうすることにより、面倒な裁判も指導もなくなります。

それで、本当に人は育つのでしょうか。

もしかすると、全国の人気教師の映像が配信されて、

そこで学ぶことのできる環境も考えられるかもしれません。

 

「今」教育界で進められている制度やシステムの導入は、

今後の「教育」に大きな影響を及ぼすものだと考えます。

 

大きな利権も作られますから、企業も大忙しでしょう。

新宿区/上限額4589万円で「新宿区立学校ICT支援業務委託プロポーザル」募集 | ICT教育ニュース

以上記事の、人材のつかい方を間違ってはいませんでしょうか。

 

 

 

 

子どもたちの意欲・関心を高めるために、

ICT・デジタル教科書の導入が言われていますが、

実際に、実際に人と人とが交流し合い、関わり合い、意見を交わし合うことは、

無機質の電子機器から出た音声や表情とは、比較する対象ではなく、

別の次元の話なのです。

 

一見、デジタル教材、ICTは理解が早まるように思いますが、

そのようなことは、ありません。

 

子どもは、「あらゆる状況」のなかから学習し、体得していきます。

それは、会話であり、教材と通して発生する状況です。

本来であれば、自然発生した状態から、

そのまま学習にもっていくことがベストですから、

教育者は、その瞬間を逃さない目と感性を常に鍛えておかなければなりません。

 

 

「生きた関わり」が生まれることでしか学習は成り立たないということです。

 

 

机が規則正しく並べられており、

全員がチャイムで動き、人が密集することで、

閉塞感のある空間に、子どもたちを物理的にも、精神的にも

押し込めるという状況が増えていくばかりです。

 

学習後の振り返りや、学習前の記憶的装置として活用されるなら、

まだしも、デジタル教科書の導入は、本当に必要なものなのか

検討する必要があるでしょう。

 

 

「相手の意図・意思」を互いに、伝え、読み取りながら、

関係を築いていくことは、初等・中等・高等教育で欠かせない学びの環境なのです。

 

 

人が、人として生きる。
そして、学ぶということを学ぶ。

 

そのような教室を、一過性の楽しさであり、エンターテイメント的な学習に

終始するのではなく、心の底から楽しいと思える、沸き起こるような感情を

楽しいと感ずる。

 

 

子どもたちは、人として学ぶ本来のたのしさを

「今」、求めているのです。