豊かさとは?私たちのもつ自然な「生物的欲求」は時代の変化と共にあり、あらゆる生物も周囲の環境に合わせて「進化」してきた。

今、日本社会を見渡しても、資本主義システム上の社会的成長の段階を経たからこそ、何一つ、不自由なく生活できていると思っている人たちが多いのではないか。

(そこにはトリックがあり「自由」と「不自由」については、後日述べる。)

 

しかし、私は問いたい。

「豊かさ」とは何を示すのだろうか。

どんな、社会なのだろうか。

 

子供を教育していく上で、自然な「生物的欲求」をどのように育んでいくのかは、とても重要なことである。それは、現在の義務教育と大きく異なる点であり、提案したい一つの方法である。

私の友人の起業した多くの方が「日本なら、なんとかなる。」と口をそろえて言う。リスクを考えても、生命維持活動(食べていける)は何とかなるらしい。

人が、人として生きていく上で、食欲・睡眠欲・性欲・知識欲・支配欲・自由欲・自己実現欲などの欲求があって、人類は進化してきたことは言うまでもない。

 

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これは、マズローの欲求5段階説である。

1943年、「Psychological Review」誌、学術論文「A Theory of Motivation」の中で発表され、20年後の1960年代に米国で広まった。

マズローは人間は、「自己実現に向けて絶えず成長する生き物である」と仮定した。

もちろん、人間の「欲求」はこれら5段階だけでは、計り知れず、環境との相互作用によって、これほどに綺麗に分かれるものではいと私は考えている。

イメージで言うならば、螺旋のように弧を描きながら満たされていく感じである。

ここでは、共通認識をもつために5段階欲求説を用いる。

 

第一階の「生理的欲求」は、生きていくための基本的・本能的な欲求で、食欲・睡眠欲などがここにあたる。日本では、戦後すぐはこの欲求が満たされれば「豊かだ」と言われた社会である。

0歳~3歳の間に、この欲求を満たし、「生物として生きていく上で心地が良い状態」を体得する必要がある。

五感を少しずつ開き、「何を美味しい」と感ずるのかを、アレルギーを含めて観察しながら関係を築いていく。

現在、日本には添加物・砂糖などの100年前まではなかったようなものがほとんど含まれている。それを除去する方が難しいくらい食の問題は深刻化している。

この時期に「味覚」を十二分に発達させておくことは、後の感受性・思考力に影響すると考える。

そして、「心地が良い」というのは、排泄・汗などの処理によって、肌が清潔に保たれているかということである。

コットンを使用するなどして、空気を通すものが相応しい。肌も呼吸し、エネルギーの循環をスムーズにできることが、身体感覚を発達させるために重要である。

 

 

次の層の「安全の欲求」には、危険を避け、安全・安心に暮らしたいという欲求である。子供は、周囲の人が自分自身を守ってくれるのかをすぐに見ぬく。

まずは、母子関係が、アタッチメントや共同注視などを通して、深い関わりが保てていることが、個が、人生を歩む上で、大切であると声を大にして言いたい。

そして、「安全欲求」を満たすことのできる場所が

 

「多様な大人が周囲にいる家族・家庭」である。

 

ここでの関係性が健全であればあるほど、今後、様々な「欲求」を獲得していく上で重要になる。逆を言えば、個の深層に大きく関わり、長い年月が経っても解決できない自身の問題が母子関係からきている可能性もある。

 

私は、生物は、その時期にしか体得できない「こと」があるのではないかと考えている。あとで、どれだけ獲得しようとしても、自然の生物の発達・成長を無視することはできないのである。

 

母子間の2人の関係性の中で「生理的欲求」は、満たされることが多いが、「安全欲求」は、小さな共同体である家族によって支えられている。

大人ならば仕事してきて、帰る場所があり癒されること。子供ならば冒険したい、挑戦したい行動に移ること。

 

ここまで、述べてきただけでも、この自然な「生物的欲求」を、

無視し教育しても、なんら人の健全な発達・成長には至らない。

 

最後に、母子手帳や育児本にあるように「発達の枠組み」通りに、いかないことを肝に銘じておくべきである。

1人の子は、その子なりの「生物的欲求」に従って、発達・成長していくのである。

それは、1人1人違うのだから、何かに当てはめようとしても上手くいかないのは当然で、教育者自らが、試行錯誤しながら「今、一番のベスト」を与えられるセンスを磨くことが大事である。

次は、これらの欲求を土台とした、私たちのもつ自然な「生物的欲求」の高次の欲求を見ていこうと思う。

 

私は、これらの記事を書いていて、私たちの「欲求」は、時代と共に変化してきたことに気付いた。

 

あらゆる生物も周囲の環境に合わせて「進化」してきたのである。

 

これらをヒントに、これからの人類の進化を、私たちが自分の頭で考え、

想像し、行動に移していきたい。